(贖罪の教室 前編)
ある日の放課後。平松七瀬は、大張たち数人の同級生に空き教室に連れ込まれ、強引に・・・。父親が事件の容疑者として逮捕されたという理由で。「お前には、その体で罪を贖う義務がある。これは贖罪だ!」そんな無茶な理由で狙う男たち。しかし、リーダー格の大張は七瀬に触れようとせず、じっと彼女を見ているだけだった。他の男たちのような単なる快楽とは違った何かが七瀬には感じられた。七瀬は廊下で後輩の村山さつきと会う。「アニキの奴、朝の電車で先輩に会えるの凄く喜んでますよ!」さつきは、七瀬に気のある兄・正己のことを話すが、今の七
...すべて読む瀬にまともな返事が出来るわけが無い。また、助けを求めようと口に出しそうになるが、恥ずかしくてとても言えない。例え無実を信じていても、父親が容疑者だということは、七瀬の気持ちを内向きにさせた。さつきは、そんな七瀬の様子に首を傾げるしかない。翌日、まどかが心配そうに七瀬に話しかけてくる。彼女は、浩司の無実を信じてくれている数少ない友達だ。「七瀬・・・実はこんなものが学内に出回ってるんだけど、知ってる?」それは『贖罪新聞』という怪しげな紙切れだった。
(贖罪の教室 後編)
「贖罪新聞」最新版。その内容は、七瀬の痴漢電車でのことと、保健室での七瀬とまどかへのイジメのことだ。七瀬は、まどかを巻き込んでしまったことで落ち込み、自分は罪深い存在なのだから当然なのだと思うようになっていく。正己は説明を始めた・・・。実は彼らは、殺された西野の子供だった。平松の学生時代、学校では「贖罪新聞」という物が密かに出回っていたが、それは西野によるものだった。イジメに参加する勇気の無かった彼は、平松の行為を行為を書いてバラまくことで、彼が動揺するのを見て密かな快感に浸っていたのだ。失業した西野は金に困り、十数年ぶりに平松と会った。彼が塾経営で儲け、マスコミに顔をだすほどの成功者だったからだ。西野は、昔のネタで脅して口止め料を引きだそうとしたが、「贖罪新聞」を書いていたことがバレると、逆切れした平松に殺されてしまったのだ。正己とさつきは、父の書斎で殺される直前まで書かれていた日記を見つけ、全てを知った。